モノラル録音、フォーキーでシンプル、ギター・アコギ・ベース・ドラムだけ、歌も一発録りでオーバーダビングなしの、文字通り「録ったまま」のサウンド・プロダクト。
「ほっといていいことは ほっときな」「水と塩を飲んで 自分で血を作り笑え」「簡単な 簡単なスタート 困難な 困難なエンド」「言葉たちよ もっと自由に もっと自身を救え」「ああ こんなひとときを積み重ねて ぼくらはその分だけ死に近づいた」「あるようにあれ なるようになる」「勝っていなくていい だけど 負けるなよ」などなど、YO-KING曲も桜日秀俊曲もキラー・フレーズだらけ、必殺の一行だらけな歌詞。簡素だがとても強い、クリアなメロディ。
音楽性やアプローチはまったく違うが、1990年のファースト・アルバム『ねじれの位置』や1995年の5thアルバム『KING OF ROCK』の時とある意味同じように、真心ブラザーズが「覚醒した」「ギアが入った」「確変に入った」「チャクラが開いた」「ゾーンに突入」──どんな言い方でもいいが、とにかくもう何度目かの音楽的ピークを迎えていることを示すのが、ニュー・アルバム『FLOW ON THE CLOUD』だと言える。
以下のインタビューでYO-KINGと桜井秀俊もそのことを認めているので、そのあたりをじっくり読んでいただければと思う。
あと、そういうこと以外にも、例によって「1本のインタビューに数本分のネタをぶっこむ」語りの達人っぷりも健在なので、そのへんも楽しんでいただければと思います。
「俺、そうだよな、言葉の人だったんだよなあ」って(YO-KING)
──『FLOW ON THE CLOUD』、「どうしました!」ってくらいよかったんですけども。
桜井ははははは! 失礼な! どうもしないんですけどね。ただ、作っていて盛り上がっちゃったというか。
YO-KING今年はオリジナル・アルバムを作りましょうってことは、ちょっと前から決まってて。それで曲を作り始めたら、怒濤のようにあふれてきちゃった。この倍ぐらい曲ができちゃったのを、12曲にしぼったという。
桜井最初のセッションからむちゃくちゃ盛り上がって、「これは2枚組だな」と思ったんだけど、マネージャーにあえなく却下され(笑)。
──なぜ今、おふたりとも曲がたくさん出てきたんでしょうね。
桜井なんでなんですかね? 今までサボってたからかなあ(笑)。
YO-KINGまあ、相変わらず、ずっとボブ・ディランを研究してたので。そこからライ・クーダーに飛び火して、ザ・バンドに行ったりとか……今回「雲の形が変化をした」って曲で「ライ・クーダーから ニール・ヤング」とか歌ってるけど、まさにそういうことをね。 で……ここ10年は、ダニエル・ラノワっていう、ボブ・ディランの『オー・マーシー』(1989年)を作ったプロデューサー。U2だと『ヨシュア・トゥリー』(1987年)を作った人。
俺はボブ・ディランって、『オー・マーシー』で息を吹き返したと思ってんのね。それは、ブルースとかロックンロールとかジャズを基調とした音楽を、ダニエル・ラノワがおもしろい見せ方をしたからだ、と思ったわけ。
ここ10年くらいは、それをかっこいいと思ってやってたんだけど、今回は、ダニエル・ラノワのボブ・ディランは卒業して、もっと前の、60年代のボブ・ディランを……エレキを初めて持った『ブリング・イット・オール・バック・ホーム』、あと『ブロンド・オン・ブロンド』、『ナッシュヴィル・スカイライン』『ジョン・ウェズリー・ハーディング』とか。あのへんのレコードにすごいはまってたのね。それがモノラルだったわけ。だから今回のこのアルバム、全編モノラルなのよ。 エコーとかそういうのはやめて、もっと生々しく……曲を持って来て、パッてみんなに聴いてもらって、パッて演奏をつけてもらったようなレコードにしたかったの。
そんなレコーディングね、楽しくないわけないんですよ、曲さえあれば。で、曲はバッカバカできてたので、「楽しいなあ」と思っていたら、あっちゅう間にできちゃった名盤、っていう感想です。
──はい。なぜ曲がどんどんできたのか、という理由には行かなかったですね。
YO-KING(笑)あ、じゃあそれ行きますか? ええと、その作曲の時に……俺、追い込む時は、どんな曲でもいいから1日1曲作る、っていうふうに自分に課すわけ。最初は久しぶりだから、「どうやって曲を作ってたかなあ?」みたいな感じで、とにかく1曲作るわけ。そうすると、3曲目ぐらいから「あ、これはいいんじゃないか?」っていう曲が出始めて、10日目の10曲目には名曲ができてる。
で、途中で気づいたのは、「俺、そうだよな、言葉の人だったんだよなあ」って。忘れてたのね。だから最近のアルバムは、言葉が足りなくて、1番と3番が一緒だったりするんだけど。
桜井1番と2番しかない曲で、1番と2番が一緒だったり(笑)。
「今日はボーカルのレコーディングですけど、2番はまだですか?」「ない!」「わかりました!」っていう。
YO-KINGそれでもいいと思ったのね。でも……よく「ブレてない」って言うけどさ、「ブレてない」って、表現者にとってはよくないことで。ほどほどにブレなきゃいけないの、表現者って。今桜井が言ったような、1番も2番もおんなじ歌詞しかないような時期もあれば、このアルバムみたいな時期もあって。おんなじようなことしててもしょうがないからね。 政治家だって、歴史家だって、ブレなきゃいいってわけじゃないと思うわけ。1年前とおんなじこと言ってても、世界は変わってんだから、1年後には違う政策を出さないとダメじゃない? 音楽も同じで……まあ自分の中ではすごいちっちゃなブレなんだけど。
とはいえね、ブレすぎてもダメなんだよ。このへんのニュアンスはね、やはり、長くやればやるほどわかるっていうか。今回のブレはね、下手すると10年とか20年以来のいいブレだったかもしれない。
最近は、メロディと歌詞を同時に作ってたんだけど、『KING OF ROCK』の頃って、言葉をワーッと書いたあとに、曲にのせてたんだよね。だからラップというか、トーキングというか、ああいうふうになったんだけど。
あの頃みたいに、言葉がどんどん書けたんだよね。それが勝因だと思います、今回は。ノートがどんどん埋まってったの。たぶんあんなに……メロディ関係なく言葉を書くってやりかた、すっかり忘れてたんだよね。とにかく文字を書く、文章の練習をするような感じで書いて、それで、おもしろいことだけを歌詞にすればいいやと思っていて。
あとはね、わかりやすい歌詞はやめようと思ったのね。「楽しく生きましょう」とかさ、「明るい方がいい」とか、そういうのはさんざんやったから。ボブ・ディランじゃないけど、もうちょっと煙に巻いた方がいいのかな、今回は、と。
今回は、途中でいなくなっちゃった、レーベルのスタッフの方と、最初に話した時に……まだ曲もなかった時に、俺が、午前中レコードを聴く時に聴きたいようなものを作りたい、そういう個人的なアルバムにしたいって言ったら、彼が「真心のふたりの世代ならではのレベル・ミュージックを聴きたい」って。
桜井さんざん「反逆せよ」とたきつけて、途中でいなくなっちゃった(笑)。びっくりした。
YO-KING自分が上司に反逆して、会社をやめちゃって(笑)。「そんな有言実行のしかた!」と思って。 だから、俺はレベル・ミュージックとまでは思ってなかったけど、あんまり明るく楽しくみたいなのじゃなくて、もっとこう、毒とか不良性みたいなものとか、いいかげんな感じ? とかを、かっこよく表現できたらいいかな、と思って。 あと、とりあえず、情報量が多いやつ。ボブ・ディラン、20番まで続く曲あるじゃん。まあ20番まである曲はできなかったけど、それぐらいの気持ちで言葉をツラツラーッとノートに書いてたの。
もうね、バイオリズムとしか言いようがない。
95年以来の……手応えとしてはそういう感じ(桜井)
──桜井さんは、どういう感じでたぎってきたんですか?
桜井なぜ曲ができたんだろうとか、なぜレコーディングでテンションが上がったんだろうっていうのは、もうね、バイオリズムとしか言いようがない。ファースト・アルバムはまあ、最初だからドーンといくじゃないですか。で、ライブもレコーディングも、毎回毎回その時のベストは尽くすんだけど、時々……ほんとに10年周期ぐらいで、わけのわかんない、目に見えない波みたいなのがドワドワドワッ!とやってくることがあるんですよ。それを今回ものすごい感じて。
YO-KINGさんも言ってたけど、それこそ『KING OF ROCK』の時に起こった、自分内だけではない、いろんな、真心ブラザーズという屋号を取り巻く……会社をやめたその人とかも含めたさざ波が、だんだんでかい波になっていって、「これを録音しなきゃ!」みたいな。
95年以来……そうか、22年ぶりか。じゃあ周期でもないか(笑)。でも、手応えとしてはそういう感じ。「この感じ、覚えがある。逃してはいけない!」っていう気持ちに。それを録音するのが今回の仕事でした。もちろん状況も環境も昔と違うんだけど、自分の中で使用するアンテナが久しぶりに立ち上がったのは、あの時と、あとデビューの時と、同じだったっていうか。
で、曲ができたあとの具体的な制作方法なんですけど、いきなりレコーディング・スタジオに入ったんです。3~4回練習に入って、なんとなく形を詰めてから、いい感じの曲をバカバカ録ろうか、ぐらいに考えてたんだけど、YO-KINGさんから、それすらせずに……録音機材があるスタジオだったらどこでもいいから、そこでプリ・プロダクションをしようと。なんかの偶然が起こった時に、それを逃すことがないように。
レコーディング・エンジニアもいて、ベースのハルくん(岡部晴彦)とドラムのダイちゃん(伊藤大地)は、何も知らない状況で、その場で曲を渡されて。で、返ってきたものでOKが出たら、それがいちばんいい形。と思ってスタジオに行ったんですよ。
そしたら初日に4~5曲、「これはちょっとヤバいんじゃないか」みたいなテイクが録れちゃって。1曲まともなのが録れればいいくらいに思ってたんだけど、初日からこれってことは、2枚組だな、ウッシッシ、と。 ということが起こったのは初めてでしたね。それは、ハルくんとダイちゃんが手練のミュージシャンだっていうのと……俺は、ちゃんとしたスタジオ・ミュージシャンでもないので、語彙が少ないから。語彙を持っておこうと思って、YO-KINGが聴いてたボブ・ディランとかザ・バンドみたいな、ああいう感じのギターで、俺ができそうなものっていうのを自分の中にストックしておいて。スタジオに行って、当てはまりそうなものを出すと……自分でも弾いたことがないような、もう2回目弾けないみたいなのが出て、それがダイちゃんハルくんとバチッと合って。
時にはYO-KINGさんが、もう一回ぐらい歌って自分の中で詰めたいのに、こっちの3人ができ上がっちゃって、2回目やりたくないな、みたいなものまでできるぐらいの勢いで。すげえよかったです、もう。大喜利の結果がよかったやつ、みたいな。
どんどんみんな、デジタルのレコーディングになって、なんぼでもやり直しできるし、修正加工すらできるようになってるから。そんな世の中だからこそ、カウンターでいちばんおもしろいのは、大喜利の、その場でしかできない再生不能のものじゃないですか。エキサイティングな現場だったんじゃないかな。
──今はこういう時代だから、こういう世の中だから、こういう歌を書きたいっていう方向に向かったところはあります?
桜井頭で考えてはないけど、お腹の底の方にある何かを形にしたらこうなった、という意味では、そうなのかもね。
まあ俺、もう趣味でやってるからね、音楽(YO-KING)
──初期真心が好きな人は絶対「うわ!」ってなると思うんですけど、初期と違うのは、ニヒルではないというか、言葉はシャープだけど無責任じゃないというか。
YO-KING確かにね。そこの成長はあるよね。まあ俺、もう趣味でやってるからね、音楽。
桜井ちょっと言いすぎですよ(笑)。確かにそうかもしれないし、俺もそういう部分なくはないけど、なんでも言っちゃダメ(笑)。
YO-KINGみんな趣味でやったらおもしろくなると思うよ。ボブ・ディランなんて絶対趣味でやってるからね。ポール・マッカートニーはポール・マッカートニーで、ああいう趣味なんだよ。大ハコで「レット・イット・ビー」をやる、っていうのが、最高に楽しい趣味なんだと思う。だから、いい歳こいたら趣味でやっていかないと、逆にかっこ悪くなっちゃうっちゅうか。
────最近そういう「趣味でやっている」推しなんですか?
YO-KING趣味推し! 趣味推しはけっこう、古いよ? 俺。それこそ「ぼくは今でも老後だよ」って言ってるぐらいだから、1992年から(笑)。「この先ずっと老後だよ 明るく楽しい老後だよ」って。
────ああ、「老後」。4枚目でしたっけ?
YO-KINGそう、『善意の第三者』。それを趣味というのか、老後というのか、アマチュアリズムというのか、素人というのか……そういう感じは、常に俺には貼りついてたと思うよ。ただ、時々そのバランスは、大きくユラユラはしたと思うけど。「遊びで音楽やってんだ」っていう気持ちは、常に持ってなきゃとは思ってたね。だからそんな、あんまりいろんなことでオタオタすることはなかったよね。
────桜井さんは? もっとちゃんと仕事?
桜井いや、僕もたぶん、遊びで(笑)。
YO-KING俺以上に実は遊びだよね。失礼じゃない、逆に。ファンの人には。そんな気持ちでやってないと。とは思うよ。
遊びのように仕事をして、仕事のように遊べ(YO-KING)
桜井好きな音楽を、プロとしてやってる人でも……清志郎さんとかもそうだけど、やっぱり全員そういう匂いがするんですよね。いちばん好きなこととしてやってるでしょ?みたいなさ。それは遊びにほかならないじゃないですか? ずーっとギター弾いてるチャボさんとかさ。ああいう人を良いなあと思って音楽をやってる限りは、影響は受けちゃうよね、それは。仕事というか、遊びながら責任もとるよ、っていう感じかな。売れなかったらクビにもなるし。そういう感じです。
YO-KING俺の名言はねえ──。
桜井(笑)俺の名言?
YO-KING遊びのように仕事をして、仕事のように遊べ、って言ってんの、自分に。すごい大事なことよ、それって。だから、ゴルフとかは仕事だと思ってやんないとダメなんだけど、遊びのようにゴルフしちゃってるからまったくヘタです(笑)。趣味こそ仕事のようにやんないと……歴史が好きになったから、歴史の場所巡りとかするんだけど。大変なんだ、やっぱり。疲れんのよ。でもそれを仕事だと思ってやれば、楽しいんだよね。仕事のように遊べって、そういうこと。
こっちから出向かなくても、急に向こうから大量のニシンがやって来た(桜井)
──この、ゾーンに入ったみたいな時期が今なんで訪れたのかは、訊かれても困る?
桜井なんか……同じ港から船を出して漁師をやってるんだけど、こっちから出向かなくても、急に向こうから大量のニシンがやって来た、みたいな(笑)。それを俺に説明しろと言われても。みたいな感じです。「今御殿建てずにどうする」みたいな感じです。
でもなんか、ものを作り続けてる人だったから、この感じは共感してもらえるんじゃないかな。物書きの人とかね、突然映画を撮る人とかね。
──このアルバムで歌にしたことというのは、この曲たちを書いた最近に考えていたことでしょうか。それとも何十年単位でずっと感じていることでしょうか。
YO-KINGどうなんでしょう? ええと、できたのは、4月とかですよ? 言葉が出てきたのは。考えてたのは……それはもう、1行1行違うかもね。
桜井でも「レコードのブツブツ」の「食べたくなくなったら残しなさい」は、デビュー当時から言ってましたけどね。
YO-KING(笑)うん。
桜井「トンカツ定食のキャベツ、そんなに残すの?」って言ったら、「食べたくないから残すんだ」って。
YO-KINGそう。俺、もっと太ってたと思うよ、この思想がなかったら。もっと不健康になってたと思う。
──でも確かに、こういう感じのことは初期から言ってたかもしれない。常識とか前提とされていることに対して、「みんな信じてるけど、それ実は非合理的なんだよ」っていうことを、よく歌にしていたような。
桜井ああ、「腹八分目で医者いらず」とか。
──桜井さんの「けんかをやめたい」も──。
YO-KING俺、どうしても河合奈保子を思い出しちゃうんだよ。「けんかをやめて」。
桜井もちろんそれありき。タイトル、「けんかをやめてえ」か「けんかをやめたい」か、どっちか悩んだもんね(笑)。 でもほんと、歳をとればとるほどね……子供のけんかもさ、国同士の戦争も、けんかはけんかじゃないですか。大人になればなるほど、揉め事ってシャレんなんなくなるから。「簡単な 簡単なスタート 困難な 困難なエンド」って歌ってるけど……しかも、ちょっとしたことで起こるからね。そこから注意しないと、っていうことです。精一杯がんばって書いた平和ソングですよ、これが。
──このアルバム、若いリスナーにはどう響くでしょうね。
桜井ねえ?
YO-KING反応が見たいよね。まあ、まわりに白盤を配って聴いてもらったけど、評判は上々ですね。ただみんな、言葉を仕事にしてる人とか、音楽の人とからだからね、まわりにいる人って。そういう人には評判はいいですね、とてつもなく。 まあぶっちゃけ、玄人に評判がいいのはわかるわけ。その先へどうね、伝播していくかだよね。
──でもたぶん、そのへんまで含めて、無意識にこういう方向へ向いたのかなっていう。
YO-KINGああ……いや、俺は思ったよ。さっき趣味とか言ったけど、結局まわりの友達から口コミで広げていくのがいちばん早いのかな、逆にって。だから、白盤をたくさんくれっつって、配ったんだけど。でもそういう人たちが買わなかったら、より売れないっていう(笑)。
──今を言い当てているような気がしますけどね、どの曲も。
YO-KINGああ、時代をね。そうね、28だからね、歳が。28で生きると、そういういいことがあるわけですよ。
──その28歳推しはなんなんですか?
YO-KINGはははは。なんかに書いてあったんだよね、35すぎたら好きな歳を決めていいんだと。実年齢で生きると老けちゃう。ほら、今、脳科学の本とかもたくさんあんじゃない? 今49歳だとして、たとえば歳をきかれて、「49歳」って口に出して言っちゃって、それを耳できいてるから、脳がカチッとスイッチ入っちゃうの、「俺は49なんだ」って。もしかしたら身体の年齢は、38ぐらいかもしんない、現時点で。でも49って言った時点で、今、38から39に上がりました(と言ってニコッとする)。
桜井あははは!
YO-KINGだから、いかに自分を騙すかなんだよ。俺、昔から「世界は思い込みなんだ」って言ってたでしょ? あれは、逆に言えば、いかに脳で自分を騙すかって意味なんだね。いかに、みんなが俺のことを好きだって思い込むか、とか。思い込むパワーってすごいんだよ。
桜井「デスクの女の子がみんな俺のことを好き」って(笑)。すごい!と思いましたよ。
YO-KINGはははは。昔ね。
桜井そんなことは絶対ない。
YO-KING絶対ない、絶対ないんだけど、思い込む力って、より自分をかっこよくさせるわけ。モテにさせるわけよ。だって俺、小学校の頃も、クラスの3/4は俺のことを好きだって思ってるよ。事実はどうでもいいわけ、そういうふうに思い込めるかどうかっていう力なんだよ。それが人生を切り拓くわけ、楽しく。
桜井思い込むだけなら自分で密かにできるけど、YO-KINGさん、人にアナウンスするじゃん(笑)。そのひと越えがまたすごい。
YO-KING(笑)そう、そこがかなりハードル高い。言うことによって、さらにそれを俺がきいてるから。「あ、そうなんだ?」って、また自分に刷り込んでいくわけよね。その刷り込みってすごいよね。海辺の崖が、波でちょっとずつ削れるように。簡単な努力で、ちょっとずつ思い込みを強くしていくっていうかね。
桜井でも28歳のわりには、ライブの時に中音(ステージの上の音)がでかいと、「ああ、うるさいー」とか言う(笑)。
YO-KINGはははは。まあ、でっかい音がきつくなってきたのはあるけど。